田舎の組み込みプログラマーがわざわざ趣味でも色々開発してみようとあがく様を綴るブログです。
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hx711の仕様を読み解く2018年11月30日

先日、hx711の動作にミステリーな点があると書きましたが、結論から言うと、思い込みよる勘違いでした。
今回はその辺りについて書いてみようと思います。

やっちゃだめなやつ

今回の失敗例は、4個のhx711から同時に重量値を読み出そうとして、1つのシリアルクロック(PD_SCK)で4個まとめて処理する方法です。
つまり、4個のhx711が全てreadyになったら読み出しをかけていたんですが、その結果がこちら。

複数のhx711を一つのクロックで読み出すと・・・

readyになるタイミングがバラバラなだけでなく、数周期の間readyにならないやつまで出てくる始末です。
4個全てがreadyにならないと読み出しをかけられないため、しばらく待っていたんですが、他の3個はその間一定周期で短時間だけhighになっています。
ここでようやくhx711のアウトプットレート(10SPS or 80SPS)の意味に思い至ったわけです。

そもそも

実はこれまでA/D変換は逐次比較型しか使ったことがなくて、変換は任意のタイミングで出来るものだと思っていました。

hx711の場合、24bitということは多分ΔΣ型で、あらためて調べてみると、常時変換をしているタイプでワンショットやマルチプレックスには向かないとのことでした。
常時変換しているということは、読み出しをかけなくてもずっと動いているということなので、その辺をロジアナで確認してみました。

4個のhx711の変換タイミング

ご覧のように、それぞれ一定周期で一瞬だけhighになっています。
highになっている間はbusyなので、この時にA/D変換を行っているわけですね。

なので、busyになる直前に読み出しをかけると、読み出し中にA/D変換が行われてしまうことになり、その時のDOUT出力はおかしなことになってしまうわけです。
今使っている4個だけでもA/D変換周期の個体差が結構あるため、徐々に互いのタイミングがずれてきて問題が発生したというオチでした。

というわけで

hx711を複数使うシンプルな方法は、それぞれにそれぞれのシリアルクロックで読み出しをかけてやることですね。

まぁ、横着せずに最初からそうしておけば余計な苦労をせずに済んだのですが、趣味ですのでこういうのもありかなと思います。
なんとなく理解が深まった気もしますしね。

本題に進む前に

今まで使っていたモジュールは推奨回路と違っていたり出力周期が変えられなかったりと気になる点が多かったので、他のモジュールを取り寄せてみました。

2種類のhx711使用基板の比較

右のモジュールはコンデンサの容量は分かりませんが部品構成は推奨通りで、出力周期も変えられます。
あと、コンパクトで裏面がベタなのもポイントが高いですね。

せっかくなので周期設定を80SPSにしてみました。

いよいよ本題

配線とソフトを変更して実行した結果がこちらです。

個別クロックで複数のhx711を処理

ソフトは大がかりな変更をしましたが、珍しく一発で動いてかなり感動しました。
そしてそのソフトがこちら。

複数のhx711をR8Cで読み出すソース

メインループで直に処理していますが、今回はスマートに構造体風に処理してみました。
一回のループで1パルスだけ処理するようにし、次のhx711に切り替えるようになっています。

一見何の言語か分からないかもしれませんが、R8Cの構造化アセンブラです。
マクロ機能が便利なので調子に乗って使いまくってしまっているのが、正体不明な感じに拍車をかけていますね。

ifとか++があったりしてC言語風でありながら、アセンブラですので普通にニーモニックが使えますし、マイコンのフラグも記述できます。
R8C自体もビット処理が使いやすかったり、アドレスレジスタ以外にもSBとかFBが相対アドレッシングに使えたりと、アセンブラでプログラミングするのが楽しいマイコンですね。

もう一つの方法

今回はやっていませんが、複数のhx711を使用するもう一つの方法として、複数のhx711に同一の外部クロックを供給してやる方法があります(たぶん)。

個々の内臓オシレータで動作している状態ではタイミングが徐々にズレていくのは当然と言えば当然なわけで、ならば、同一の外部クロックで動作させれば(たぶん)同期がとれるはずなわけです。

その際、外部クロックは最大20Mhzまで使え、RATE端子がhighの場合は20MHz÷138240で約145SPS、lowの場合は20MHz÷1105920で約18SPSとなります。
つまり、外部クロックを使う事で変換周期も変更できるということですね。

あともう一つ

データシートに「セトリング時間」という項目があり、A/D変換4回分の時間になっています。

A/D変換の場合、ステップ信号入力に対してデジタル出力が対応した値に収束するまでの時間ということで、例えばロードセルに100gの重りがスパンと乗ったとして、デジタル出力値がその100g相当の値になるまでには4回のA/D変換が必要というわけです。

ということで、今回はhx711の仕様を少しばかり読み解いてみました。

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